「子どもの歯ならび・かみ合わせが気になるのですが、何歳ぐらいから治療を治療を始めたらよいのでしょうか?」と、よく聞かれます。
ケースによって違うので一概に決められませんが、現在、明らかに問題があって成長に伴う改善が期待できず、むしろ状況の悪くなることが予想される場合は、すぐに治療を始めた方が良いでしょう。
でも、子どもさんから治療に対する理解や協力が得られるようになるのは4〜5歳ぐらいからでしょうか。
この時期に注意しなければいけないのは、上の歯ならびと下の歯ならびの前後的な位置関係です。
また、「指しゃぶり」や「口呼吸」といった癖も、歯ならび・かみ合わせを悪くするので、この時期に改善した方が良いでしょう。
※「口呼吸」:鼻で呼吸しないで口で呼吸することです。子供さんが、いつもお口をぽかんと開けているようだと要注意です。口呼吸の原因として、鼻炎や扁桃肥大・アデノイド肥大・副鼻腔炎などが挙げられます。
4歳9ヶ月の男の子のケース
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乳歯の前歯が下の乳歯の内側にはいっています。このままだと、大人の歯に生え変わっても同じかみ合わせ(受け口)になってしまいます。
取り外し式の装置で上の前歯を外に押すことにしました。
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10ヶ月後、前歯が出てきました。このまま、永久歯にはえかわってくれれば大丈夫です。でも、受け口は再発しやすいので成長が止まる18〜20歳ぐらいまで要観察です。
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6歳ぐらいから、下の一番前の乳歯が抜けて大人の歯・永久歯がはえてきます。8歳ぐらいになると、上下4本の前歯がはえ揃います。
永久歯は乳歯よりも横幅が広い。そこで歯並びが狭くて永久歯が並ぶ隙間の足りない時には、ねじれて出てきたり、本来の場所とずれた位置に生えてくることがあります。 この年齢になると、子どもさんの理解力も増して色々な装置を使って治療ができるようになります。
この時期に、歯ならび・かみ合わせをできるだけ正常に近い形態に近づけ、しっかり噛めて飲み込める・きちんと発音できるように改善することは、この後の成長・発育を考えると、とても大切です。
この時期(6〜8歳ぐらい)に治療を始めると、永久歯を抜歯(便宜抜歯)して治療する確率がとても低くなります。
この時期だと簡単に治療できたことが、大人になって治療の難しい歯ならび・かみ合わせになっていることが多いように思います。
小学校高学年〜大人になるまで、いつでも治療は始められますが、この時期に歯ならび・かみ合わせに問題があれば、歯科医師とよくご相談ください。
開始時10歳0ヶ月の男の子
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歯ならびがせまいので、歯がおかしな所からはえてきました。取り外し式の装置で上下の歯並びを拡げてやります。
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約一年後。隙間ができると歯も下に降りてきました。
歯がはえてくる時期を逸すると隙間を拡げても歯は降りてきません。
十分拡げた後、永久歯が全部、はえ揃ってから歯ならびをきれいに整える治療を始めることになります。
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開始時7歳9ヶ月の女の子
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下の前歯がガタガタしています。
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歯ならびが狭いので取り外し式の装置で拡げます。
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一年10ヶ月後。きれいに歯みがきできていないのが心配です。
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下の前歯はきれいに並びました。
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取り外し式の拡大装置(上顎用)
真ん中にネジがあって、回すと左右に拡がります。
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取り外し式の拡大装置(下顎用)
ケースに応じて色々な装置があります。
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