"

 


  佐藤歯科医院
    京都市左京区浄土寺西田町72-5 TEL 075-752-6480  TEL 075-706-6480

HOME 診療案内 スタッフ紹介 医院設備紹介 豆知識 Diary



HOME
診療案内
診療方針・
スタッフ紹介
医院設備紹介
豆知識
(目次・ここからも
調べられます。)

歯をぶつけたら
抜いたほうが
よい乳歯?
「要注意乳歯」
「歯・口腔健康診断結果のお知らせ」から
「要観察歯CO」
・「CO要精検」
・「GO」
お口の中の細菌
むし歯の話
1) むし歯菌
2) 予防(基礎編)
3) 歯みがき
4) 糸ヨージ
5) 歯と歯の間の
むし歯
6) スポーツ飲料
7) 果汁100%ジュース
8) キシリトール
子どもの歯ならび
・かみ合わせの治療

「いつから始めるの?」
前歯のすき間
(子どもの場合)
大人の歯がはえてこない時(前歯)
子どもの歯ぎしり
・大人の歯ぎしり
妊娠中の歯科治療
親知らずの抜歯
訪問診療
医療費控除
Diary
 日々の活動や
休日の出来事など
を綴ります





スポーツ飲料と虫歯


 大学でサッカーをやってる男の子が右上の前歯の痛みを訴えてきました。 調べてみると歯と歯の間に神経まで達する深いむし歯があります。 他にも歯と歯の間にむし歯がたくさんありました。 サッカーの練習中にスポーツ飲料をたくさん飲むそうなので、むし歯の原因はスポーツ飲料なのでしょう。

 スポーツ飲料やジュースをよく飲む子供は上の前歯の間にむし歯ができやすい。上の前歯のところは唾液の分泌が少なくスポーツ飲料やジュースが歯の間にいつまでも残るからです。
 スポーツ飲料は一般に思われているよりもたくさんの砂糖がはいっているうえ、強い酸性です。歯の表面のエナメル質はpH5.5以下で溶け始めます。スポーツ飲料(500ml)には砂糖が約25g入っていて、pHは3.5ぐらい。

 猛暑が続きます。スポーツをしない人でも熱中症の予防のためにスポーツ飲料を飲む機会が増えると思います。スポーツ飲料を飲んだ後は、お茶や水をのんだり、うがいをしてむし歯にならないように注意して下さい。

 最後にグラクソ・スミス・クライン株式会社の資料を掲示しておきます。
画面をクリックすると大きな画像で表示されます
画面をクリックすると大きな画像で表示されます



果汁100%ジュースとむし歯


   「果汁100%ジュースは、飲んでもむし歯になりませんね?」と、よく聞かれます。

 結論から言って、果汁100%ジュースでも、むし歯になることがあります。

 果汁100%ジュースを口に含むと、とっても甘い。果汁100%ジュースには、果物由来の 砂糖(ショ糖)が含まれているからです。
 そして豊富に含まれている果糖やブドウ糖にも(砂糖に比べると弱いけれど)むし歯の誘発能があるからです。

 「果汁100%ジュースでも、むし歯になりますよ。」と答えると「果汁100%ジュースは体に良いのでは?」と言われます。なんか会話がかみ合いません。
 「虫歯になる・ならない。」と「体に良い・悪い。」は違います。
 
 まず、 ジュースのJAS規格を調べました。
 JAS規格では、果汁100%のものしか「ジュース」と表示できないそうです。私は甘い飲み物は全てジュースだと思っていましたが。
 さらにJAS規格のジュースは果物を絞った果汁である「ストレート」と、いったん濃縮された果汁を水で薄めて加工された「濃縮還元」の2つに分けられています。ストレートタイプでも濃縮還元でも「むし歯のできやすさ」には差がないと思います。
 JAS規格では、濃縮還元のジュースは砂糖類やはちみつを2.5%以下だけ添加することが認められていますが、使用した場合は必ず表示しなければなりません。

 
画面をクリックすると大きな画像で原材料名・栄養成分が表示されます

  画面をクリックすると大きな画像で原材料名・栄養成分が表示されます。

   近所のお店で濃縮還元タイプのオレンジ100%ジュースを買ってきました。どれも原材料はオレンジ・香料、栄養成分表示はエネルギー約50kcal・炭水化物約10g(100ml当り)です。記載が無いので砂糖・蜂蜜の添加は無いようです。濃縮時に果物の風味が飛ぶので、天然由来の香料を添加することはJAS規格でも認められています。

これでは、どうしてむし歯になるのか分かりません。

生協のアップルジュースも買ってきました。
 

 生協のアップルジュースの栄養表示には糖類が記載されています。
これは上段の炭水化物24.9gの中に糖類が21.9g含まれている(200ml当り)ということです。

 さらに、「糖類とは、果糖、ブドウ糖、しょ糖です。糖類は、りんごに含まれるものです。」と但し書きが付いています。しょ糖(ショ糖)は砂糖と同じです。

 生協の記載が詳細・丁寧なのであって、生協の果汁100%ジュースにだけショ糖(砂糖)が入っているのではありません。このショ糖(砂糖)は、もともとリンゴに含まれていたもので、後から加えられたものではありません。

 オレンジ果汁の成分はショ糖・果糖・ブドウ糖の割合が約2:1:1だそうです。りんご果汁もだいたい同じだとして、上記栄養成分を参考にするとアップルジュースやオレンジジュースの中には約10g/200mlのしょ糖(砂糖)が含まれていることになります。
角砂糖2個分です。さらに果糖とブドウ糖が合わせて約10g/200mlがはいっているわけです。

 果汁100%ジュースでも、むし歯になりそうな気がしてきましたね。

  「野菜100%ジュースなら大丈夫でしょう。」と、きく人が絶対いると思ったので野菜ジュースも調べました。
画面をクリックすると栄養成分・原材料名などが表示されます 画面をクリックすると栄養成分・原材料名などが表示されます
   缶のトマトジュースはストレートタイプかもしれません。トマトジュースは種類によって糖質の量に差があります。
 糖質の多いものは気をつけたほうが良いかもしれません。


 野菜100%ジュースは糖質がたくさん入っているので要注意です。
 カゴメの製品には「ショ糖(砂糖)は野菜汁及び果汁に由来するものです。」と記載されていました。



  幼児向けの100%ジュースもあります。

 容量やパックの形態・材質が幼児向けに工夫されていますが、基本的に中身は普通の果汁100%ジュースです。栄養成分・原材料名などは下の写真を見てください。
 香料無添加のりんごジュースもありました。飲むと、りんごの味がぼやけてはっきりしません。香料って、すごいなと思いました。

画面をクリックすると大きな画像で表示されます
画面をクリックすると大きな画像で表示されます


  結論 果汁100%ジュースは、甘みが強いだけではなく、強い酸性(ph3.5ぐらい)です。その上、口の中に残りやすいのでむし歯の原因になりやすいと思います。

 いろいろ書いてきたのに結論は平凡です。
   果汁100%ジュースは炭酸飲料に比べると人工的な添加物も少なく、安心・安全な飲み物と言えると思います。
 果汁100%ジュースは、濃縮還元でも、ストレート果汁でも加工過程で加熱されているのでビタミンなどの栄養源はかなり減っているようです。果物そのものを食べるのとは違いますが、子供の補助的なエネルギー源や「お楽しみ」としては有効だと思います。今回、いろいろ調べてみてメーカーが安心・安全な飲み物を提供しようと努力していることもわかりました。
 ただし、甘みが強い(味が濃い)ので、早くから子供に果汁100%ジュースを与えると、他の飲食物をとらなくなることがあります。
 メーカーも「離乳初期には、湯冷ましなどで2〜3倍にうすめて飲ませてあげてください。」と書いています。
 試しに3倍にうすめて飲んでみましたが美味しくありませんでした。離乳初期にわざわざうすめてまで果汁100%ジュースを飲ませる必要があるのでしょうか。
 子どもには「お茶・水・牛乳」が一番良いと思います。ただし、牛乳を哺乳瓶で与えながら寝させるとむし歯になります。これは母乳でも同じです。
 むし歯予防の基本は「3歳までは、お菓子やジュースを与えない。」です。




キシリトールとむし歯予防

 テレビのコマーシャルから、キシリトールの「むし歯予防効果」が広く知られるようになりました。でも、実際はどうなのでしょうか?

1)キシリトールとは。
 イチゴやレタスなどに含まれている糖で、甘味料として広く利用さています。 工業的にはトウモロコシの軸から作られているようです。 溶けるときに熱を奪うので、ひんやり・すっきりした甘みが特徴です。

2)キシリトールはむし歯菌をやっつける?
 キシリトールは、抗生物質のようにむし歯菌を殺しません。むし歯菌が増えるのを遅らせるだけです。
 むし歯菌はキシリトールを取り込んでも代謝できないので、そのまま細胞外に放出します。この時、エネルギーを消耗するのでむし歯菌の増えるのが抑制されるのです。

3)むし歯菌はキシリトールから酸や歯垢を作れない。
 砂糖を全く使わず、キシリトールだけを使った料理やおやつを食べればむし歯にはならないでしょう。それで、甘味料にキシリトールだけを使ったチョコレートやラムネ、ガムもあります。でも、何回か食べると飽きてしまいます。やっぱり砂糖を使った方が美味しいです。

4)キシリトールは歯を強くする?
 キシリトールには、歯の表面を強くしたり、むし歯になった歯を治す(再石灰化)働きはありません。
 でも唾液には、むし歯菌の作った酸を中和したり、歯の表面が酸で解けるのを防ぐ(再石灰化)働きがあります。チューインガムは唾液の分泌を促進してエナメル質の再石灰化を促進することは良く知られています。
 砂糖不使用のキシリトール入りチューインガムには「むし歯の予防効果」があるといっても良いかもしれません。

5)結論
 キシリトールを食べるだけではむし歯の予防はできません。キシリトールさえ食べていればむし歯にならない、歯みがきはしなくて良いというわけでは無いのです。



Presented by
            佐藤歯科医院 TEL 075-752-6480